シマノFC-M8100を試す

Hopeで170mmを試すとか155mmを試すとかやっていたが思い立ってXTクランクセットを取り付けてみた。他の方が使用しているのを実際に見たことがあるブレーキキャリパーと比べると、このクランクアームは一見してあまり目を引くものがない。


2ピンチボルトでの取り付けが容易

やはりピンチボルト2本での取り付けは簡単。軸にレンチを突っ込んで取り付けるタイプのクランクは50Nmとか昔のHopeの75Nmとか、バカみたいな力を必要とするのでメンテナンススタンドに挟んだまま作業するのが少々不安。XTR様も次世代からまたもとのピンチボルト2本方式に戻してほしい。

Wolf ToothのDrop Stop STで軽量化

170mmクランクアーム単体で500g台前半なので、この価格帯のクランクセットとしては非常に軽い。30Tリングで622gというのが公式発表だが、XTR様との差別化のために敢えてクソ重いチェーンリングを設定していると思われる。
WTC Drop Stop ST(30T)との組み合わせで584.5g、XTR様は長さ不明30Tで545gだそうなので、40g程度の差に収まった。Qファクター168mmのXTがあったら差はもう少し小さくなるのでは?
このチェーンリングはアメリカに注文して2日で手元に来た。DHLを使っているので送料もそんなに安くないと思われる。原価は一体いくらなのだろうか?

LT-FC41が同梱されない

以前XTR様を購入した際にはLT-FC41が付属していたが、現在は別売りになっているようだ。たまたま見かけたMTB系の掲示板でも同様の話題があったので、ある時期から工具の添付をやめたものと思われる。

表面処理は相変わらず弱いらしい

XTR様もなかなか傷がつきやすかったが、XTもBike Radarのレビューでは側面の保護シートを突き破って派手に地金が露出している。自分の場合はこんなにハードな使い方をしないと思うので、運搬時のちょっとしたミスでつまらない傷をいくつも入れる程度だろう。

酷い円安のせいで、シマノ製品を外貨換算するとかなり安く感じる。もうあまり海外から高額商品を買う機会がないけど、このままの水準で良いとは思えないので早く110円台くらいまで戻してほしい。

ロックリング工具たくさん

 諸事情でロックリング工具が増えた。

左から、シマノTL-LR10、Birzman Lockring Socket 12mmPark Tool FR-5.2GT、シマノTL-LR15、IceToolz #09C2


Hope Pro 5ハブのカセット取り付け問題に対応するため、TL-LR15が見つからず、Birzmanの物を購入したものの、こちらは芯棒がすっぽ抜けるマヌケな欠陥設計であった。ショップを通して代理店に確認したところ、「芯棒外しても使えるようになってますよ」的な、いかにも取ってつけたような残念な説明だった。
これが「芯棒を外しても使えます」な、大変便利な思いやり設計ロックリング工具。まあ、代理店の主張通りなら、その設計思想は端的に言って💩。5mmの工具でも「外して使えます」みたいなことを言うのだろうか?Park ToolもIceToolzも、ボルトでガッチリ固定してあるので安心感が高く「外して使えます」的な雰囲気はない。

代理店の主張はそんな感じでゴミのようだったが、ショップの対応は非常に丁寧で好印象だった(以前から利用している大阪の店で、最近は多少高くてもそちらから買うようにしている)。結局、370℃のコテ先で指をちょっぴり焼いたりしながらハンダ付け(のような措置)を行って芯棒を固定しておいた。

12mmであっても、TL-LR15で十分用を足すが、IceToolz #09C2の見た目とソケットレンチ対応という点が気に入って使っている。

シマノ現行世代残念MTBハブ

Scylenceの失敗の後、代替製品の市販まで時間が極端に限られる中、なんとか頑張ったものの、かなりまずい問題が発生しているようだ。この動画を投稿した人によると、シマノが対策を行っているものの、基本的に設計がダメなので、根本的な解決にはならないそうだ。


動画を見ると、ハブシェルが削れてしまっているので、新しいものを書い直すしかないようだ。シマノはこの件についてリコール等は行っていないとのこと。

自分はシマノのハブを使っていないが、今世代のXTR様RDは、クラッチのカムユニットに付属するボルトが緩むというバカバカしい障害を経験した。緩み止めを塗布してその後は再発していないが、初物に手を出して痛い目に遭ういつものことなのかもしれない。

ちなみに、シマノのサポセンにカムユニットの障害について聞いたところ「製品が出たばかりで導入事例が少なく、他のユーザーで発生している報告はない」という内容の回答だった(2019年の話)。

Jupyterのカタカナ転記はジュピター


結論

カタカナ転記は「ジュピター」。以上。

個人的に「じゅぱいたあ」に固執するのは構わないが、他人に強要したり、他人が「ジュピター」と言っているのを「訂正」すべきではない。
Stack OverflowだったかRedditだったか、そこでもやはり「joo-pie-terだろ?」みたいな英語での投稿を見た記憶がある。
しかし、アーキテクトの読み方を差し置いて「じゅぱいたあ」と読むべし/転記すべしとするなら、その根拠を明確にしたほうが良いと思う。

調査状況

後述のとおり、2015年と2016年にアーキテクトの人がjupiterと発音している動画が見つかった。自分がジュピターとカタカナ転記する根拠はそれらの動画である。

カタカナ転記の方法とは別に、「当初じゅぱいたあだったのにやむを得ずジュピター」になったという説を唱える人がいる。この手の主張には「いつ」「だれが」という重要な2点の検証が必要である。「当初とはいつのことか?」「(当初)そのように言っていたのは誰か?」について確認したほうが良い。もしその人が明確な説明をしない場合は、根拠のない仮説を事実であるかのように主張している可能性がある。
自分は「元々じゅぱいたあ」派の存在を知ってから調査を続けているが、まだそれを裏付ける資料を見つけることができていない。その一方で、上のような質問に明確に答えず、最終的に「元々じゅぱいたーというのは元々じゅぱいたあだからである」的な文章で「回答」している人を観測した(ソースは当面の間明示しないので各自見つけてください)。

よくある質問

Julia + Python + Rだから「じゅぱいたあ」

アーキテクトがjupiterと読んでいる現状を考慮すると、3言語の合成というJupyterの成り立ちは、「じゅぱいたあ」と読むべしという主張を強化しない。
例えば、sci-fiはサイファイが一般的で、それがscience + fictionだから「さいふぃ」と読むべし、とはならないのと似ている(個人的にどう発音しようが自由)。似ているが、こういった例え話はあまり意味がないし例外(?)はいくらでも出てくるだろうから、「アーキテクトがjupiterと言ってるから俺はジュピターと言う」でオシマイ。

アーキテクトに向かって「3言語の合成だからじゅぱいたあと読め!」と強要する度胸は自分にはないので、おとなしく「ジュピター」と読みたい。

じゃあPythonはピソン

Jupyterはジュピターであり同時にPythonはパイソン。混同する必要はない。sci-fiがサイファイでありfictionはフィクションであって「ふぁいくしょん」ではない。混同する必要はない。

動画を確認したい

ご自身で探しましょう(GGRKS)。YouTubeには複数あり、例えば「Brian Granger: All About Jupyter」(2015)とか、「PLOTCON 2016: Fernando Perez, The architecture of Jupyter」(2016)とか。

動画を見たけどジュピターと聞こえなかった

思い込みでそうなることはよくあるので心配無用。例えば「フランスではマクドと言う」も同様で、動画を見るとあれは2音節で「マッkドゥ」「マッkド」に近い(自分にはそう聞こえた)。3モーラで2拍目にアクセントがある「マクド」とは少しも似ていない。「フランスではマクドと言う」と思い込めばそのように聞こえてしまうだけである。事実として「そう発音する」ということと、「そのように聞こえる」というのは違うので注意されたし。

その他

cronを「クーロン」とか、bulletを「バレット」とか、toeを「トゥ」とか、そういう気の毒な転記を先に改めたほうが良い。paginationを「ページネーション」というのもちょっと気になる。generativeはGoogleやAmazonは「ジェネレーティブ」だけど、自分調べではジェネラティブがより一般的だし1文字節約できる。Microsoftはジェネラティブだったか。

時代はフルサス

 

Specialized Stumpjumper EVO


時代はフルサスということで、Café RoubaixのSLAPPでおなじみのSpecializedがセールをやっていたStumpjumper EVOを購入。

大半のパーツをStanton Bikes Switch9erから移植したので、現状Sw9erはフレーム単体の状態。置き場所もないのでやむを得ない。

今回新たに購入したのは以下の通り。

  • サスペンションフォーク
    160mm対応なので。MRP Ribbonはスペーサーの入れ替えで160mmにできるとメーカーから回答をもらったけど、5年近く前のものを今更..という気分の問題。
    ブツは玄武で購入。Google等での評判はイマイチだけど、今回の購入に際しては(こちらが色々と話を合わせたこともあってか)ごく普通の接客だった。
  • ドロッパーポスト
    Wiggleで購入。高さを変えるために何度もボルトを緩めたり締めたりするとフレームが痛むのではないかと心配で、やむを得ず導入。このために400gくらい重くなった。
  • ステム
    銀色のHopeハブに合わせた見た目で。
  • ハブ
    108ノッチのPro 5が出たということで。「ハブから自転車が生えた」とソーシャルネットワークのコメントには書いたが、実際の順序は逆。
  • サドル
    黒っぽいフレームなので、黒いサドルを。I-Beamの黒はある。
  • フェンダー
    リアのリンク周辺を保護する目的で装着している。
  • スポーク
    ハブを変更して一部流用が利かなくなったため。
14kgを少し超えるくらい。ドロッパーを入れたにしては意外と軽かった。セール品とはいえスペ社では最上位製品なので軽量なのだろう。

リアアクスルの頭部座面に一部真鍮を使っているとか、サスペンションのベアリングが工業規格であるとか、大手メーカーの良さを感じることができる。あと、RDハンガーがUDHであるのも良い。メーカーの在庫維持に期待する必要がなく、もしSRAMの電動無線Eagleを使うこともできる(自分としてはシマノがSRAMをパクってもっと良いものを出してくれることを信じているけど)。
また、他社が猛烈にべらぼうな価格で販売している中、大手が適正価格で通販でも販売しているというのは、DIY野郎にとっては大変ありがたい。Café RoubaixのSLAPPでおなじみのSpecializedだけど、「とりあえずまともなフルサスで見た目が気に入ればメーカーは何でも良い」という自分の方針に適合している。

自分が買ったのはS4サイズ。2023-05-16時点でまだ2本残っているし、日本での売れ筋であるS3は9本。大量に仕入れすぎたのか、新しいモデルが出てもまだセール中なので、気になる人は是非。「スペかぶり」が発生するかもしれんけど、そこはパーツの選択でどうにかなるだろう。

とまあ、製品としては色々と優れた点が多いこのフレームだけど、「Stumpjumper」の発祥やCafé RoubaixのSLAPPもあり、肯定的な思い入れはこれからも持つことはないと思う。

Hope Pro 5が発売されたので早速購入・組み立て

 
Pro 4が出たとき、Hopeに「センターロックマウントのMTB用ハブを作らないのか?」と聞いたところ、その予定はないとの回答だった。ロード用にはあるのになぜ?と思ったがそれ以上は要望を出すこともなく、DT Swiss 350を買ったのでそれ以降、Pro 4のことは忘れていた。

そして、2023年に発売されたPro 5でついにセンターロック対応のハブがカタログに。センターロックはシマノの独自規格で、せっかく業界で合意した(と思う)6穴規格に混乱をもたらすものみたいだけど、自分の好みはこっちなので、今後もセンターロック一筋で行こうと思う。

108ノッチになったリアハブの音はこんな感じ。

Pro 2 EVOのような爆音ではない。街中を走っていると気づいてもらえなさそうな感じではある。

Hopeが主張するようにシールの抵抗が減り、以前より長く空転している印象。過去動画と比較するとだいたい最後の10秒くらい、空転時間が伸びた感じ(条件が違うので正確な比較ではない)。定量的な評価ではないが、数10回空転させた限り、ここ10年でもっとも抵抗の少ないリアハブであるという印象。

表面の仕上げは予想していたよりアルミの艶が目立って好ましい。表面保護なしのポリッシュが最も美しいけど、アルミ合金ではすぐに曇ってしまうのでこれくらいが最善だと思う。

メンテナンスの際、シールの取り付けに専用工具が不要になった点が大きい。Pro 4では専用工具なしではまともに取り付けできなかったので。

ただ、カセットを取り付けた際にエンドキャップがだいぶ飛び出しているため、ロックリング工具のかかりが甘くなる。このせいで数回ロックリングの内側をなめた。仕方ないので芯棒付きの工具を発注した。

暫定措置としてXTR様(CS-M9101)に付属する1mmのスペーサー(Y1X400300)を適用したところいい感じになった。DT SWISS 350では全く問題なかったので、Hopeの設計が間違っていると思われる(フリーハブボディ長すぎ)。

定規を当てて計測したところ、MSボディそのものには問題がなく、エンドキャップの形状が間違っていることが判明。段差に引っかかって工具が奥まで入らない。こんなのテストすりゃすぐに分かるだろうに(たぶん昔からこの形状)。

多分、TL-LR15みたいな芯棒付きの工具しか使ってないんだろう(TL-LR15でも奥まで入らないが工具の傾きを減らせる)。ディーラーズマニュアルを熟読し、シマノが指示するカセット取り付けに必要な工具を漏れなく使用して互換性を検証してほしかった。

対策としては、TL-LR15を使用し、工具がズレないよう慎重に作業をする。ラチェットレンチに対応しているTL-LR10はシマノのディーラーズマニュアルに記載があるが、このHopeのイカれたエンドキャップ形状に適合しないので使用しないこと。幸い、捨てたと思ってたTL-LR15が発掘されたのでモンキーレンチと組み合わせる定番の方法で対応した。

せっかくなので、購入したショップに情報共有を依頼しておいた(余計なお世話かもしれないので、可能なら、みたいな文脈で)。

新しいスラムのX0は1,600米ドルで41^^ 29万円

スラムの新しいコンポの基本セット(X0 Eagle AXS Transmission Groupset:GS-X0-E-D1)、定価は1,600米ドルで、日本では41 29万円

日本ではちょっとお高いけど日本のカス市場は無視

なんだかよく分からんけど、2023-04-27時点で価格が違っているので訂正。単に見間違えたか、変更したか。いずれにしても不正確な情報は放置できないので修正しておく。
もともとのびっくり価格はサイスポの記事で(X0はPower Meterなしのものと思われる説明にパワーメーター付きのタイトル)、今も価格はそのまま残っている。紙じゃないので容易に訂正できると思うけどなぜか未だに放置。

この方のTweetによると、自分が見たものはやはり幻ではなく、あたおか価格の見直しを行ったようだ。

価格について、自分の観測範囲では批判的なものが多く、おま国規制に対する憤りも見られた。1,600米ドルという希望小売価格は、北米ではシマノXTR様よりちょっと高いくらの価格のようだ(Jenson USA等で確認)。

スラムとしては、規模の小さい日本のMTB市場は注目に値しないので、価格は代理店任せになるだろう。嫌なら買わなければ良い、みたいな。日本での価格をスラムに報告しても良いだろうけど、そのようなものはスラムから無視されるか、回答があったとしても、「代理店が現地の事情を考慮して決めているので、当社はそれに対して指示等を行うことはない」みたいなものになるはず。まあ、最近は翻訳ツールが充実してるので、我慢ならないと思った人は是非スラムへ(窓口不明だけど)。

とはいえ、この国内価格によってシマノは価格競争をする意味が全く無いので、例えば、CN-M9100が1万5千円となったとしても、100ドルのCN-TTYP-X0-A1が2万4千円 1万8千円なので「スラムより安いからいいじゃん」的な感じになる。なので、スラムは高いから買わない、シマノを買う、という単純な話でもない。アメリカでのXTR様チェーンCN-M9100 (126L)の定価は$68.99なのでX0よりだいぶ安い。

日本のMTB市場(規模)がハナクソというのはシマノから見ても当然同じなので、この傾向が続けば、価格を上げる方向の「価格競争」が続き、いずれごく一部のお大尽な人たちとその家族だけが楽しむ遊びになりそう。自分にとっては所詮気晴らしの一部なので、そんな感じになってもちょっと残念なだけで困りはしない。自転車販売店はどうなんだろう?自分にはよくわからないので、せいぜい頑張ってください。

UDHについて

それはそうと、この長い記事はなかなか読み応えがあった。スラムが各完成車メーカーにRDハンガーの規格「UDH」の採用を働きかけ、2019年から本格的に導入開始、最近は対応製品がかなり増えた。地ならしを済ませたところで、満を持して今回の新型を発表。
過去製品との互換性はほぼなく、また、UDH対応が前提なので未対応のフレームでは使えない。詳しくはリンク先記事にある「The Trojan Hanger」の段を参照のこと。シマノには「ダイレクトマウント」というのがあるようだけど、MTBではほとんど採用が進んでない気がする。

斜めになってるケージについて

★★★★★★
「ゲージ」じゃないので、「ゲージ」と書いて未だに気付いてない人はいい加減直してください。
★★★★★
これはシマノ12sRDでも同じ。海外YouTuberが気づいたのを自分でも確かめた。SRAMの場合はハンガーがないので、曲がっているかどうかの判定は今までとは違う。曲がった場合に今まではハンガーを交換すれば良かったのが、これからはフレームを交換するかRDの一部を交換するかのどちらかになる。設計上は、アクスルに負荷がかかることになっているようなので(要出典)、派手にぶつけた際にフレームがブチ壊れることはないとされる。

シマノ新型フリーハブボディがサードパーティーからちっとも発売されない理由

シマノ12sが発売されてからしばらく経ち、先週8100XT/7100SLXが発表されたが、先日の問題で分かったとおり、少なくとも日本国内で9100XTRを使っているユーザーがほとんどいない
大阪本社の火災等、理由はいくつもあると思うが、一番の原因は、サードパーティーメーカーによる新型フリーハブボディの製造が進んでいない点だろう。

2019.06.02 時点で、Microspline 対応単体ハブを販売しているのは DTとi9だけ。日本で(も?)異常な人気のある Chris King や Hadley にもない。
完組メーカーの Mavic は、Microspline ボディ付きホイールを売っている。ITS-4 用の Microspline ボディって供給されるのかな?多分ダメだろうな..。

これに関連して、Hope が 05.31に、 "What's happening with Microspline" という見出の投稿を行った。
これによると、新型フリーハブボディの発表後から、Hope はシマノと協議を続けてきたが、シマノからの回答は

  1. Microsplineのライセンス認証はOEMハブメーカーにしか与えない
  2. ハブはバイクメーカーの名前で販売していること
  3. アフターマーケットのハブメーカーにはライセンシングを行わない
だったそうだ。憤懣やるかたなし、といった心情を感じられるが、まともな企業の投稿なんで、非常に押さえた表現になっていた。


DT はホイール・ハブ・スポーク・ニップルメーカーであり、各社へOEM供給もしている。Industry Nine はちょっとよく分からないけど、該当するんだろう。そもそも DT は今回の新型フリーハブボディの開発に際して協業したから、自動的に OK になるんだろう。Mavic の OEM 先ってどこだっけ?

てことで、シマノ12sを使うためには、シマノまたは DT ・ i9 のハブを買って組み立てる、3社または Mavic の完組を買う、あるいは DT / i9 が OEM 供給している完組を買う、という限られた手段をとるしかない。裏技として、XD ドライバを使ってカセットだけ Eagle 12s にするとか(HGを使うNX/SXは知らん)。

業界に無関係な私には、シマノが何をやりたいのかよく分からない。規格はオープンにして、コンポーネントを売れるようにするのが普通だと思ったんだが、今回は違うようだ。IBM の PC/AT 方式じゃなくて、Apple の Mac みたいな方向へ進むのか?売れすぎると Sram が潰れちゃうから?

XD ドライバに乗せるシマノ互換カセットがそのうち出てくるかもね。


Singletrack Magazine にも同様の記事が。
そして pinkbike にも

これによると、DT, i9, Mavic, Newmen が公式にライセンスされ、White Industries はスプライン減で特許回避を行ったそうである。
また、記事の内容からは、シマノと仲の良い(=シマノパーツを付けた完成車をたくさん売る)メーカーとそのOEM元にしかライセンスしていないとも解釈出来る。

せめてブレーキホースだけでも外装に

とにかくホース/ケーブルの内装にうんざりしているので、このたびようやく外装化を完了。Jagwire ブランドで出ている Stick-On Guides をトップチューブに、よく分からんメーカー(AliExpress でみつけた Problem Solvers のパチモン)のケーブルガイドをチェーンステーに貼り付け。

チェーンステーの方は回転部分が近いこともあり、念のためタイラップで補強。

これで1日長瀞ツアーを走ったが、特に問題なし。転倒したり何かに引っかけたりしてCクリップが外れたとき、トップチューブのマウントにはタイラップでの代用がきかないのが唯一の難点。予備クリップは携帯しよう。

余談だが、ツアー終盤でRDのスタビライザーが無効になった。後ろの方からやたらとパチャパチャ音がすると思っていたら、チェーンがチェーンステーを叩いていた音だった。

スタビライザー死んだと思い、帰宅して確認すると、カムユニットのボルトが限界近くまで緩んでいることを確認。
今までZee(RD-M640-SS)とXT(RD-M8000)を使ってこのようなことはなかったのだが、今回はBR-M985と同じく初物。また当たりを引いたのかも知れない。

翌日シマノに連絡したが、未だ使っているユーザーが少いために事例もなく対処方法が分からないとのことだった。一旦低強度緩み止めを塗布して様子見、再発したらシマノ送りにすることにした。

CushCore はインストールが大変だけどやり方はある

タイヤインサートをいくつか試していて、最難関と言われる CushCore にも挑戦してみた。

公式手順に従ってやってみたが、自分には合わないやり方で、リムもタイヤも大分傷んでしまった。

最後に試したのがこれ。

私なりのCUSHCOREの取付方法

タスサイクル殿が公開している記事で、要約すると以下の通り。

  1. インサートなしでタイヤをはめ、空気を充填してビードを上げる
  2. 片側だけビードを外し、CushCore をリムにはめる
  3. 再度ビードをはめ直す
1 が出来るタイヤだとこの手順は効果的。ビードをはめる際にはタイヤレバーは不要。先日、タイヤインサートなしで Nobby Nic 2.6in のビード上げに悪戦苦闘して諦めた経緯があって、そうすると 1 で躓いてコレデオシマイになりそうな不安はあるが。

と思ったが、チューブ入れてビード上げる、片側だけ外してチューブ抜く、から2につなげればOKだった。

ちなみに、作業前の折りクセ取りとうはやってない。紙のスリーブを外して円形にし、そのまま作業開始。引っ張って伸ばすとか、そういうことをするとリムへの密着度が下がる(気がする)んでやらない。やらなくてもリムへセットすることは可能だし。

後日、この「タスサイクル・メソッド」を用い、内幅30mmリムと2.6inタイヤの組み合わせで CushCore をインストール、所要時間10分程度だった。タイヤレバーを使わないからリムにもタイヤにも優しい、そして確実で速い。

これから XTR様 9100 を買う予定の人へのまとめ

  1. RDのケージは曲がってるが不具合ではない
    慌てて店に持ち込むのはやめよう。
    980世代で頻発した「キャリパーのピストンからお漏らし」障害に関して、マウントのフェーシングを勧めた自称「プロショップ」があった。そのような店に頼んだりすると、正常なハンガーを誤った方向へ曲げられてひどい結果になると思われる。こういう店は害しかないので営業停止が適当。
  2. シフターのリリースレバーが恐ろしく固いが不具合ではない
    「皆さんのご意見を取り入れました」の結果がこれ。
  3. 「Low スペーサー」はペラペラの透明プラスチック部品
    老眼にはつらい。カセットを外した際になくさないように!
    ペラ1マニュアルとペラペラスペーサーが入っている透明袋
  4. クイックリンクの内幅が狭いため他社製チェーンリングでは相性問題の可能性あり
    Sram PowerLock で代用可能。
  5. SISの調整はローから7~5枚目で行う
    9s時代から11sまではトップから2段目で行っていた。これでやると51Tでクランクを逆回転するとチェーン落ち。正しい方法だと何回転でもOK。この点は Eagle を超えた!
  6. Scylence ハブは発売しない。待ってても無駄なので諦めよう。
    Update: What's Going On With Shimano's New XTR Group?
    We have indeed had to go back to the drawing board on the design of Scylence - this one isn’t just a production issue. 
    Scylence は一旦御破算にして設計からやり直すと。9000系の頃に発売中止にしてようやく9100系で出すと思ったらやっぱりダメだったってのはかなり深刻では?
    試乗車のリアホイールを空転させたところだと、非接触の割に回転が重いな、という印象を受けた。技術的な問題であればシマノなら解決できそうだけど。
    まあ、次に期待だ!
  7. トップ10Tの取り付けに要注意
    MICRO SPLINEは、アルミ3枚+チタン5枚をスパイダーアームでリベット止めした塊に、鋼4枚のギアをはめ込む構造であるが、トップ10Tは2枚目の12Tに嵌合する。このため、12Tに対して平行でない状態でもロックリングを取り付けることが可能で、そのまま締め込んでいくと10Tの突起が容易に損壊する。突起1つくらいなら走行に多分問題ないんだけど(3月ほど実績あり)、ショップで取り付けてもらった際は自分で確認しておこう。
    Sram XD だと、切削11枚に50Tが圧着してあるんでこういうこともなく、非常に簡単だったんだけど。10回ほど脱着したところでは、XDの方が作業性が良いと感じた。

The hanger is not bent!

I also noticed the bent of the derailleur cage but this seems intentional. A video of LoveMTB is always informative.👍👍


The red line is straight down from one gear and the green line shows the angle of the tension pulley. At first sight, you may suppose that the hanger is bent or the cage is broken. But this is correct. I couldn't find any information about this on the Dealer's Manual(DM-MARD001-00) so far.

シマノ XTR 9100 には提灯記事がいっぱい

★インフルエンザウイルスA型に感染した人間が書いています(といってもブログ経由でインフルエンザに感染するわけないが)。

ということで、12sになったXTR様をテスト。

シマノ純正ハブの出荷遅れ、互換フリーハブボディが2019年1月時点でi9とDTしかなく、i9は国内26,100円という強烈な価格設定、DTは日本では大変な不人気なため使っている人見たことがない、といった状況の現在。
i9 の現地価格は、爪・スプリング付きがUSD205、なしが145。いずれにしても高すぎる。DT の EUR50.41の2倍を超える価格は、自分には受け入れられない。まあ、高いものは維持費も高いということで。

DTの350/240用Microsplineフリーハブボディは、ドイツから送料込みで7,000円未満という妥当な価格なので、現時点では Microspline への最短距離であろう。DT の Microspline が XD より安いのは、シマノと協業したせいか?
日本国内で一般ユーザーによる XTR 9100系の導入事例がほとんどないのはここら辺の事情が影響しているものと思われる。

9000系で導入されたリリースレバーへの不適切な抵抗は、9100系でダウンシフトレバーにも適用された。そのため、例えば急な登り返しで軽いギアに変更したい場合でも、今までより余計に力を入れてレバー操作を行う必要があり、末端の筋肉が不必要に疲労しそうである。

また、リリースレバーの2段目は、繊細さを知らぬゴリラのような馬鹿力人間向けに設計されているようで、押せば命の泉湧くくらいの決意で親指を押し込まないと容易には変速しない。「もうマルチリリースなんて9200で廃止!」みたいな意気込みを感じるくらい固いが気のせいか?

シフティング全体の印象は曖昧。Sram Eagle はパチパチと明快に決まるが、XTR 9100 はモソモソと不明瞭にシフトする。

Sram のシフトレバーは過去のシマノより重い。しかしそれはスプリングが重い感じであり、今のシマノのような不快な摩擦抵抗のような重さではない。せっかく良いワイヤーがついていても、こういう不適切な抵抗のために台無し。
この辺の設計には一貫性があり、SramはRDのチェーン落ちにもスプリングで、シマノは摩擦抵抗で対策を講じている。

RDのオン/オフスイッチは面倒くさいしレバーの形状がダサいが、オンにした際の安定度はシマノの方が上。後輪を頻繁に脱着しない人が使うのなら、強いスタビライザーがついているシマノのRDの方が良いだろう。

余談だが、CS-M9100-12は、「Lowスペーサー」というものを最初にフリーハブボディに取り付けることが指示されている。しかし、11sでたまにハブメーカーが指定するようなアルミスペーサーとは異なり、これはプラスチック製で透明な厚さ0.5mm未満くらいのペラペラな部品である(品番:Y1X401500)。
これなしでもカセットのガタつきはないし、海外の掲示板では320km(200mi)位走って何の問題もない、みたいな投稿があったり。公差是正のためのものなのか?

うっかり紛失してしまいそうだが、摩耗した際にはこれを交換するだけで済むのは良い点か。Sram の XG-1295 かなんかだと、トップ裏に樹脂製のパーツが埋め込んであり、これは交換不可。

ペラ1の取って付けたような説明書きがビニール袋に入っていて、それに同梱されているもんだから最初はどこにそんなパーツがあるのかさっぱり分からなかった。
そこで例によって検索してみたところ、mtbrのフォーラムが見つかり、
See that very thin clear plastic thing inside the packet... that's the piece your looking for
という投稿でようやくどう言ったものか理解することが出来た。

シマノはクランクセット/チェーンリングの出荷も遅れていて、今はサードパーティーのクランクと組み合わせている人も多そう。こういう問題があったようだけど、Hope のクランクとBoostチェーンリングでは問題なかった。
とはいえ、歯が摩耗しているからたまたまうまくいったと思った方が良さそう。変速して噛み合わせが変わると、下側部分でチェーン離れが悪い歯があるので、新品チェーンリングではもしかしたら問題が発生するかも知れない。
自分はEagle 12s を使ってたんで PowerLock 12s をいくつも持ってるから、同じ問題が発生しても同じ方法で解決出来ただろう。
PowerLock と異なり、クイックリンク部分は他の部分とほとんど変わらない。PowerLock は大ぶりで、チェーンの余分な油を拭き取る際、手に伝わる感触でそこが PowerLock なのかすぐに分かる位だった。

ちなみに、取り付ける際に工具は使用していない。Sram 方式で、リンクを上側に持っていき、リアブレーキを掛けつつペダルを踏む、でOK。取り外しはともかく、取り付け時に工具なんて不要。もちろん、きちんとはまってないとリンクが壊れるしチェーンが弾け飛んで色々取り返しのつかない状態になるかも知れない。
とはいえ、工具にも興味があるんで、TL-CN10も入手して試してみよう。

カセットはこんな感じ。51Tから18Tまでがリベット止めで一体。16Tからは12Tまで3枚が単独でボディに嵌合し、10Tは12Tの溝にはめ込んで、最後に専用ロックリングで固定する。
というように、Sram XD のような一体型カセットではないので、16Tからトップまでの歯を所定の位置に合わせる必要があり、スプラインの1部分が他と異なる間隔になっている。
なお、10Tと12Tが不適切な状態で取り付けるとブチ壊れるので注意(ディラーズマニュアル「DM-MACS001-01」p4参照)。
10Tと12Tが噛み合った感触が明確なので、取り付け誤りは稀だと思うけど、酔っ払っていたり寝ぼけていたりすると、16T/14Tのスペーサー忘れとか合わせ技でマヌケなことをしそうな気がする。

箱から出したらグリスでヌチョヌチョ、グリス込みで食い込み防止設計?
ロー側8枚の中心部はこんな感じ。フリーハブボディへは2面で噛み合う。シマノ様は問題ないと仰せではあるが、これで本当に食い込まないの?とやや心配になる設計なので、半年後・1年後の状態をここで再度公開予定。

相変わらず稚拙なのがワイヤーのルーティング。無理な方向へねじ曲がっており、例によってワイヤーのコーティングが毛羽立つ。Sram Eagleはプーリーを利用して自然な形で方向を変えるようになっているのでこういった見苦しい状態にはならない。
これがXT辺りなら、同じような文句を垂れつつ妥協するところだが、XTR様におけるワイヤーの毛羽立ちは絶対に受け入れられない。これはXTR様だ、XTの2倍以上の価格なのに、同様の毛羽立ちになっているとは一体どういうことなのか。XTR様なんだから見た目にもっと気を遣いなさい。

ケージは Eagle のパクリ。写真は載せないが、裏側から見ると劣化Eagleの様相にがっかりする。

同じ12sであるSram Eagle との比較でXTR 9100を見てきたが、価格についてみれば、XTR様の圧倒的勝利である(ただし日本での特殊事情)。
やはりこれは企業規模(生産数)の違いだろうか、スーパーお大尽のXX1は比較する意味がないので、X01を引き合いに出すが、税率8%の定価ベースで4万7千円くらいの差。おまけに、日本国内ではSramコンポを常時20%位の値引きをしている店がない(私が知らないだけかも)ため、実売価格ベースだとさらにその差が開く。
本来であれば、"X02" みたいな、X01 と GX との間に位置するグレードがあると良いのだが、残念なことに、「14万近いプチお大尽X01」か「XTレベルのGX」の二者択一となってしまっている。XTR9100(日本定価)とX01(USA定価)との差はたったの五千円。Geo-blocking 前に購入できた際のX01価格は、約7万5千円(送料・消費税込み)。

残念なことに、Sram の国内価格は非常に高い。上記「14万近いプチお大尽X01」でも、本国では9万6千円くらい。今回はシマノがちょっとこけそうなので大丈夫だろうが、毎回XTが出るたびにXT実売価格でGXをも下回ってシェアを一気に奪われてしまってる気がする。もう少しX01の価格を見直さないの?代理店の規模のせいかもしれないけど、これは非常にもったいない。GXはほぼ同じ価格なので、X01以上のグレードはあまり売れると思ってないんだろうな。

Stanton Bikes Switch9er Ti, latest setup

Stanton Bikes Switch9er Ti, size 18. I replaced the rims, tyres, seatpost, saddle, stem, handlebar, and crankset. Total weight is 12.5kg.
  • Rims
    DT Swiss XM481. I wanted to try wider tyres. Under Stan's Notubes "WideRight" concept, I chose 30mm inner width rims for 65-622 tyres.
  • Tyres
    Schwalbe Hans Dampf for front and Nobby Nic for rear, both 65-622 and Addix Speedgrip. Thanks to APEX reinforcement in the sidewall, I haven't experienced any pinch flat.
  • Seatpost & Saddle
    SDG I-Beam ALLOY MICRO 2014, lighter than Thomson Elite. I know Thomson is the best but the setup of I-Beam seatpost and saddle is lighter.
    Why no dropper post? Because I don't need it. I rode in a few months with Brand-X Ascend II post and I found that dropper didn't give me enough benefit for the weight penalty. Everybody doesn't understand this but it's okay, it's just a matter of preference.
  • Stem & Handlebar
    Race Face Turbine R 35 and Next R 35.
    Renthal bar is good but the colourway doesn't match my taste very much.
    Actually, the stem is Easton(corrupted by Race Face) Haven 35 and the bar is SixC 35. The differences are only the labels.
  • Crankset
    The Rotor R-Hawk looked so nice and I liked it but it started creaking after a few average rides. And it's a bit heavy and supposed to be overpowered for my use.
    Hopetech Crankset is 645g with 30T ring, a bit lighter than the predecessor(711g). I also like the appearance(someone doesn't).
    I don't know why, but the name of the crankset is just "Crankset". It has no special name like "Pro4" or "Tech 3 E4". Hopetech product naming seems to be based on general nouns.

29er は 2.6 位が面白いかも

タイヤ外径がでかくなるし、一旦スタンダードなサイズで行ってみよう、ということで、現在は DT Swiss XM421 に Schwalbe Hans Dampf 2.35 をはめて使っている。
ただ、過去に太めタイヤでなかなかいい感じだった記憶があるので、いつかは2.6in位のタイヤで走ってみたいと思っている。重さと引き換えになるけど。

こんな記事があった。自転車屋かな?

27.5 PLUS TIRE 太いタイヤの新しいスタンダード

「27.5PLUSタイヤのメリット」として「29インチよりもリムが一回り小さく軽いため加速が良い」とあるが、これは残念ながら誤り。

タイヤに応じて適切なサイズのリムを使用する前提で。
  • 27.5plus : 1,620g
    リム:Stan's NoTubes Flow MK3(480g)
    スポーク:DT Swiss Competition(160.8g[273mm x 32])
    タイヤ:Maxxis Minion DHR II Plus(980g)
  • 29:1,450g
    リム:Stan's NoTubes Arch MK3(453g)
    スポーク:DT Swiss Competition(172.6g[293mm x 32])
    タイヤ:Maxxis Minion DHR II(825g)
29er 標準サイズの方が170g位軽い。

それと、「ファットバイクはタイヤ内径が26インチで横幅が4~5インチ」てのはちょっと紛らわしい。内径は559mm。内径26インチ(660mm)だったら29erよりでかくなってしまう。
もっとも、現状「~インチ」てのは実サイズと全然合ってないので、単なる記号的な意味で「26インチ」と言いたいのだろう、と理解してあげるのが親切かつ現実的。
実際、fatbike タイヤなんかで 26 x 4.8 とかいう表記は普通にあるし。

インターナルルーティングは残念

Switchback Ti が発表されたときから分かっていたことだが、実際にやってみると本当に残念だと感じるのがホース/ケーブルのインターナルルーティング。

こういうアルミ製の蓋が付いていて、
外すと、
こんな感じ。
白い汚いものはロックタイト(低強度)
内部のエッジが鋭いため、慎重にホース/ケーブルを引き出さないと、ホース/ケーブルの表面がひどく傷つく。
これは痛々しい。
「こんなになっちゃったんだけど、何か良い案はない?」と Stanton フロントマンの Stu に聞いたけど、自分の手順が間違ってるわけでもなく、妙案は得られなかった。面取りするのも狭すぎてかなり手間がかかりそう。
それでも次回やるときはヤスリで軽くエッジを落とすくらいのことはしてみよう。

ツールは、一応これを使用。
アマゾンで買って大して高くなかったと記憶してたんだけど、明細見たら9千円弱。超高え!

今回、ブレーキホースの予備がなくて使い回したせいで割とギリギリの長さだったんで、ホース用のツールは使用しなかった。
そのため、ツールなしでシートステーからホースを突っ込み、最後にトップチューブからホースを引っ張り出す際に少々難儀をした。
内部が暗くてよく見えないので、やむを得ず夜間走行用の装備で対応。
ヘルメットに装着したヘッドライトでクソ小さい穴を照らしながらホースの端を探り、2.0mmの六角レンチをホースの穴に引っかけてようやく引き出せた。

私の持っている技術が低いことが原因なんだが、技術が低くても誰でも簡単に作業ができるアウタールーティング最高!インターナルルーティングは残念過ぎてもう二度とやりたくない(やりたくないけどBL-M9120/BR-M9120を買ったらまたやる羽目に)。
ブレーキのエア抜きとかは、油圧ディスクブレーキという仕組みに合理性があって、作業自体にある種の達成感がある。しかし、インターナルルーティングには必然性も合理性も感じられず、やらなくて良いことに対して無為に時間を浪費しているとしか感じられなかった。

頭からケツまで全部フレーム内部へホース/ケーブルが収まるのならともかく、金属チューブではトップチューブ/シートステーでホース/ケーブルが露出せざるを得ず、外観の優位性はない。むしろ中途半端で見苦しい。
さらに、フレーム内部でホース/ケーブルが暴れるため、ちょっとした段差でパキパキ騒々しいノイズが発生する。せっかくいい感じのフレームなのに、こういう点はぜひ改善を望む。

650B IS DEAD!

ということで、車輪は29erに、フレームは Stanton Switch9er Ti に。一見すると今まで乗っていたものと変わらないが、

真横から見るとシートチューブアングルが大分立っているため、雰囲気がかなり異なる。まあ、最近の "aggressive 29er hardtail" って大体こんなジオメトリーだけど。トップチューブのスローピングが16.5inサイズ並みにきついので、足つきがよく、大径ホイール・大サイズでありながら窮屈な感じがない。むしろ、設計の古い 26er Slackline Ti の方が、同じ18inサイズでも股下の空間は狭めだった。また、このおかげでマグラのようなラジアルマスターブレーキレバーであっても、ステムの位置を低く出来る。今回は一旦シマノにしたが。

タイヤ外径がとにかくでかい。Slackline Ti 26er でもフロントだけは650Bだったが、29は明らかにでかい。26er→29erで、およそ2.5インチほど直径が大きくなる。今回は29er専用設計のフレームなので、変に無理をしたパーツ構成はせず、およそ標準的な構成になっている。
そのためか、BBがかなり低く感じ、乗車時の安定感が格段に向上。乗車姿勢もずいぶん楽になった。また、舗装路で8の字走行をした限りでは、大きく倒し込める分、今までより小さい半径で回ることが出来た。

専用コースでどのような走り方が出来るのか、それはもう少し先の話になりそう。とりあえず、「今まではBBが高いせいで、姿勢を適切に保つために、膝を余計に曲げて腰を落とす必要があった」ということで、自分の稚拙な乗車技術ではなく、機材が身体に合っていなかったことにしておく。

1点、残念だったのはクランク。
Miranda Infinium を使いたかったのだが、チェーンラインがBoostに対応していない。Sram なんかだと、チェーンリングを交換するだけでどちらにも対応できるが、Infinium はそういうことが出来ない。
やむを得ず、例によってあまり使っている人がいない製品を Rotor R-Hawk を選択。日本だけでなく、世界的にもさほど人気がない(?)ようで、Google で検索してみても、一般ユーザーのレビュー等はあまり見つからない。

Rotor は、ロード用クランクは日本でも知名度が高く、実際に使っている人のブログは多数見つかる。また、楕円リングといえば Rotor という感じの製品紹介は世界的にも多い。しかし、私はペダリングを頑張るつもりは端からないので、見た目にも違和感のない真円リング(noQ Ring)を選択。

26er から 29er へタイヤ外径が大きくなるため、雑な計算結果によりフロントは 32T → 30T に変更。おかげでチェーンは交換せずにそのまま移植できた。クソ高いチェーン、まだ交換時期でもないのに捨てるには余りに惜しい。見た目は GX の白黒っぽいやつの方が好きだけど。
初代 Slackline Ti 26 の 2nd Batch 辺りから、Ti が先に来るようになった。

そしてこのごついヨーク。26er の時は、Nobby Nic 2.4 の古いやつや、Rubber Queen 2.4 でチェーンステー内側への接触が発生していたけど、これはまだまだ余裕あり。2.6位までは何とかいけるのでは。

しかし、この短いステムの下にスペーサーを入れるとなんとも不格好。もう少し下げた方が良いかも。

重さは...クランク単体で100g以上、全体で500gほどの増加。軽くしたいなら、Truvativ Descendant Carbon なんかが費用対効果で候補に挙がるけど、まあ軽量化はいずれそのうち。

ボトルケージ台座はチタンボルトで埋める。初代の、ボトルケージ台座が全くない潔いデザインが好きだったのに、ボトルケージ好き好き君たちの残念な要望を受けて、現行のほとんどのモデルに標準装備されてしまってるようだ。

正直なところ、29er は Stanton でなくても良かった。Sick Bicycles Gnarcissist とか、
Kingdom Bikes Vendetta とか。特に、Kingdom の PVD コーティングは、チタンでは珍しい黒色になるのでかなり惹かれた。値段は相当高いけど。
とはいえ、日本のファーストカスタマーとして、ここで宗旨替えをするのもどうかと重い、結局 Stanton に。

次回は、ビルド時にうんざりした例のアレについて投稿予定。

ドロッパーポストは、一度使うとドロッパーポストにはもう戻れない

本体のみ

先日、ふじてんでは使う機会がないからと、一時的に固定シートポストに戻したMJさんをまねて Thomson Elite が復活。
車体の中心付近が増えるのだから、大して差はないだろうと思っていたが、Elite に交換して走り出したときの、驚きの軽さ。31.6mm x 約335mm で211g(カット後の質量、初期は357mmで223g)。Brand-X は686g(本体617g, ハウジング・ワイヤー・レバーの合計が71g)で3倍以上、475g差。話にならない。

一度使うともう戻れないというのは本当だった。二度とドロッパーポストに戻ることはないだろう。トラベル125mmで本体+レバー+ハウジング+ワイヤーの合計が300gくらいになったら再検討する予定。

使う場面は、誰かと一緒に走っていて、下りの先に下りを挟んだ長めの登りが続くとき。いちいち降車しているとその人を待たせることになるので、乗ったまま速やかにサドルの高さを変える。
あるいは、一人で走るときに、降車によってペースを崩したくないとか。
しかし、登は好きではないし、そもそも登りが得意な人と走る機会がほとんどないため、そういう希な状況のためにクソ重い装置を付けておく意味はない。長瀞ツアーの登り返しでも、立ちこぎの方が圧倒的に楽で、ほぼ1日中ベタ下げのままだったし。

登りを降車して押し上げるばかりの人もドロッパーポストを入れてたりするけど、あれは何だろうか。固定ポストは格好悪いとかそんな感じ?

自分は、長い登りの前は休憩を取りたい。某MTB雑誌ではサドル高変更を「儀式」とか意味の分からない単語を使って由なく蔑んでいる傾向があるけど、自分にとってはただの休憩。これから始まる嫌な登りの前にグダグダ休みつつ栄養や水分を補給したり現実逃避したいだけ。

登り返しは下りの勢いを生かしつつ、フロントタイヤを木の根等にぶつけて反発力を利用し、なるべく漕がないように走ると結構楽なんだけど、そういうやり方だと全走者との距離が詰まることが多い。たいていの人は急激に減速し、後は自力で頑張る、みたいな。

Thomson Elite は製品の精度も良いし、見た目も上質。軽くて強度があり非常に快適。Thomson Elite 最高!

油圧ディスクブレーキとか、チューブレスレディタイヤなんかと比べると、ドロッパーポストから受ける恩恵(?)は種類が違う。指1本で適切な制動ができるブレーキ、低圧でパンクしにくく軽いタイヤ/リムというのは自分にとっては代えがたい。
ドロッパーは?と考えると、極端な増量や鬱陶しいワイヤー追加等と引き換えに得られるものが少なすぎるし、それが得られなくても何も困らない

なんだろう、これ?MTB以外でも似たようなものがあったような気がするが、思い出せない。


まあ、こんなことを言っていると、また気でも狂ったか、あるいは相変わらず偏屈なべらぼうが寝言を抜かしてやがる、と思われるのかもしれないけど、自分一人くらいドロッパーポストを使わなくても、自転車業界は何も困らないので良いだろう。ここに書いてあることを真に受けて、反ドロッパーポスト大運動が発生する、なんて事態には絶対にならないし。

ちなみに今は SDG の I-Beam ポスト/サドルに変えてさらに軽量化、このせいでサドルの在庫がまずいことに...。

そしてスプリングがデボネアに

納期8月の予定が、予想外の早さでデボネアシャフト(00.4019.931.008)が到着。先日ダンパーを Charger 2 に交換したが、こちらの方が圧倒的に効果がありそう。初期抵抗が著しく減るし、メーカーの謳い文句通りの性能(小さな突き上げもなめらかに吸収する)が期待できる。ダンパーなんか交換するんだったら、エアシャフトをデボネアにした方がよっぽど良い。出費も1/5位だし。
追加の効果として、スナップリングの取り付けが非常に楽になったのがうれしい。

交換前のシャフト。7gの減量となった。

まだ舗装路・コンクリ階段の試走だけで実走もしてないのに、早くも結論。DebonAir(約5千円) シャフトへの交換は超おすすめ、Charger 2(約2万5千円) はやめておけ。
こんな簡単に retroactive upgrade ができちゃうパーツを売ってると、新製品が売れなくなるんじゃないか?

MY 2014以降のPike Solo Air を持っていて、さらなるヌルヌルを欲しい人は、シャフト交換はやった方が良い。上に書いたように、自分でやれば5千円ちょっと、店に頼んでも工賃プラスでOKだろう。
もちろん、自分でやるには、オイルや色々な工具をそろえる必要があるので、新たに買うとなるとそれだけで1万円を超えてしまうが(Knipexに手を出す場合)。

ソルダリングかクリンピングプライヤーか、電動工具か手磨きか

ワイヤーの終端始末は、Knipex のワイヤーロープカッター 9561190 を使って、エンドキャップを良い感じにかしめている。しかし、RDのように飛び出しを短くしたい場合、先の工具では少々やりづらい。

世間一般ではソルダリングが昔ながらの方法で、これは私も非常に良いと思っているが、なんとなくエンドキャップでやりたいという気持ちが勝つ。そうすると、スリーブ用クリンピングプライヤーが使いやすそうで、このシリーズから選ぶことになる

しかし、一番安いものでも5,000円前後、たかがエンドキャップのためにそんな金を出す意味があるのか?

そしてまた、このようにISCG5タブを磨いてみたり、
シートチューブを磨いてみたり。
そんなことをしているとポリッシャーないしディスクサンダーが欲しくなる。チューブの方は割と磨きやすいが、ISCG5タブは形状が複雑なためちょっと磨きづらい。
チタン合金はアルミ合金と違い、磨いて表面処理を行わなくても曇ることがないので磨き甲斐がある。しかし、摩耗しやすい金属とはいえ、アルミに比べるとなかなかしんどい。

Charger 2 に入れ替え

DebonAir アップグレードキットを注文し、納期が6月ということで、先に購入しておいた Charger 2 ダンパーとの交換をしばらく待つつもりでいたものの、昨晩「8月頃」に変更になったため、急遽入れ替えを実施。
3ポジション調整は、柔い→柔い→硬いに変わった。おそらくOpen以外で使用することはないため、この交換による直接の効果は薄いが、意外な軽量化があった。
これが元々インストールされていた Charger Damper 。
そしてこれが Charger 2 。60g近い差である。部品点数が減っており、また、取り付けにロックリング工具を使用する点も良い。スプリング側は MRP Ramp Control で、こちらはすでにロックリング対応済み。六角ソケットは割となめやすいのでこういう合理的な変更はありがたい。

舗装路で試走したところ、トップアウトの感触が変わった。他にCharger2 のフォークを試したことがないのでよく分からないが、先代より手に伝わる衝撃が若干増した印象である。

ふじてん2回目

今回も、MicJさんにお世話になってふじてんへ。

午前中に7本、午後に5本。前回は大分無理をしていたので、今回は、なるべくのろいペースを維持しつつ、できるだけ前方を見て視野を広く撮ることを意識してみた。
前半は前回と同様、MJさんに先導いただき(姿を見失い)、途中で1mmも上らない方にNBルートを(相当に)のろいペースでレクチャーして頂いた。
教えてもらえばそりゃそうだ、というような話なんだが、そういった細かなライン選びが想像できなかった自分に反省する。

午後、ファットバイクの人が、LWのジャンプでクラッシュしたようで、コース上に横たわっているところがリフトから見えた。ヘリコプター搬送になったが、どうか大事に至らず、早い回復を願うばかりだ。
自分はここを飛ぶ技術がないため、徹底的になめて走行しているが、そのうち調子に乗って(軽く)飛んだりすると同じ目に遭う可能性が高いので肝に銘じておく。

で、この日もフロントからのチェーン落ちは皆無。

帰宅後、ちょうど頼んでいたものが届いていたので、翌日組み付け。
BCD88なんてのは選択肢が少なすぎるので、いったん FC-M980に入れ替え、Hope Single Chainring を試してみることに。
これは、スタビライザー付きRDだけでなく、チェーンガイドとの併用を推奨しているため、チェーンガイドなしだと外れる可能性がある。
チェーンが脱落し、クランク側へチェーンが絡まるとRDに異常な負荷がかかって壊れることもある。
高校の頃、技術の稚拙な偽メカニックの店でロードバイクを購入した結果、通学途中でフロントをアウターへシフトした際にチェーンが外れ、その日は通学DNFとなったことがあった。ああいうバカな人間は、二度と商売で自転車には関わらないでほしい。あんな低レベルの技術で他人様から金を取るなんて、本当にふざけた話だ。

ということで、クランクセット/チェーンリングの交換はしたが、ふじてんのダメージが体に残っているため試走は延期。鍛え方が足りぬ。

XTR 9100

[2019.02.01]
Scylence ハブは発売しない。
Update: What's Going On With Shimano's New XTR Group?

新製品についての投稿は、単なる一時的なページビュー稼ぎになるだけで、後で見てもほとんど役に立たなくなるので最近はあまりやってない。

XTR 9100 シリーズが発表され、自分はSram X01 Eagle でいいか、という結論に至った。

pinkbike のこちらの記事から、価格比較をExcel使って簡単に作成。
USでのMSRPベースではほぼ同じ。DUBが出たためにGXPクランクセットがかなり安くなっているので、海外販売価格ベースではX01 Eagle がかなり安いが、現時点では比較する意味がないので除外。
また、フロントシングル前提なので、クランクセット or チェーンリングは好きなものを使えば良い。無理に Sram/シマノ純正にこだわる必要はない。
自転車の顔みたいな位置を占める部品だけど、ガチXCレーサーでもない限り、フロントシングルで性能差を感じることはないので、クランクセットなしで得られる価格差を取りたい。
「XTR様ならXX1だろ!」という声は聞かなかったことにする。

今回の目玉だと自分が思っているのはフリーハブ。12s導入に当たって、フリーハブボディの互換性を切り捨てただけでなく、先般発売を見送ったSCYLENCEフリーハブも採用したことに驚いた。フリーハブ機構が動作している間、ラチェットとの接触がなくなり、ほぼ無音になるらしい。
自分は街中での自走もあるので、ラチェット音はでかければでかいほどよいため、Hope か DT(54T) のものを使いたい。CKやi9は値段がクソ高いので不要。

Micro Spline フリーハブボディは、DT Swiss 限定でライセンス供与をしているらしいが、DTがStar Ratchetで技術協力したとか?この辺は全く不明。正式に互換性のある製品は、今のところDTしかない。今後、Micro Spline を採用するハブ/ホイールメーカーは増えるはず。でないと、シマノ12sはシマノかDTでしか使用できず、せっかく気合いを入れて出した12sが全然売れない事態になる。

クランクセットはダイレクトマウント方式に。先代で不等ピッチ4アームに変更して面倒くさくなったと思ったら、いきなり9100世代で廃止。外観は9100の方がずっと良くなった。スピンドルとリングの締結方法はセンターロックっぽく、薄くて径のでかいナットを使用する。

結局、6穴フリーザ様は今回もなし。設計はセンターロックの方がずっと良いが、シマノがライセンスのために金を要求するため(当然のことではあるが)、使えるハブが限定されている。

ブレーキは、まあどうでも良いか。レバーが2点支持できたり、キャリパーが4ピストンでホースが内側ルーティングになったとか。外観はなかなか好みなんだが、せっかくだから脱シマノを維持したい。

今更ショートクランク

ようやく日本でもショートクランクで騒ぎ出したので感想を書いてみる。 皆様のいる場所は既に自分が1年前に通過した場所だッ HIBIKEからのインボイス 自分は2022年の暮に この辺の記事 を読んで早速注文、チェーンリングは Burgtecのもの を別途注文した。 スパイダーレスの...