ホイールを組み立ててみた

梅雨が明ける直前にブツがそろったので、とりあえずこれを、
このようにした。


  1. 事前学習
    まずはホイール組の達人DVDをもう一度見直す。これは3年前に購入し、途中で挫折したものだ。その他、ネットで調べられるだけの情報は手に入れる。
  2. スポーク長
    スポーク長計算は定番のDT Swiss の Spokes Calculator。
    面倒くさい計算はこいつがやってくれるのだが、ハブの寸法がシマノの取説やサイトを見ても分からない。ノギスではかればいいのだが、直角を出すのが大変下手くそなのでネットで見つけたものを入力。

    ERDは、Spank の製品仕様から。Spank では、"ERD++"という表記を用いており、これはリム内径+リム厚みを指す。従って、今回使用したリムの "ERD++" が 528mm なので、ニップルヘッド長(1.5mmx2)を加算して531mmとなった。

    ニップルヘッドは、リム表面からニップルの溝底面までの長さ。リムは二重構造になっているため、ニップルをリムに差し込んだ状態では容易に計測できないので、ちょうど良い穴の開いた定規にニップルを差し込んで計測した。
    写真のニップルは Sapim Secure Lock(SILS)

     これで前後とも3クロスとするので、258mm/260mmを買えば良いことが分かった。
  3. スポーク
    強度と質量のバランスが良い DT Swiss Competition に決定。白ベースに黒を入れたかったのだが、白の価格が非常に高い(250円弱/本)こと、また、スポーク同士の接触により塗装が剥離するということだったので、黒ベースに白を入れることにした。
  4. ニップル
    ニップルはは、緩み止め塗布済みの DT Swiss Pro Lock(真鍮製)に決定。潤活用にシリコーングリスを塗りたくる。
  5. ハブ
    Shimano HB-M988とFH-M985を選択。カップ&コーンを試してみたかったのと、Ice-Tech Freeza を使いたかったため。いい加減、シマノは6穴で最上級グレードのローターを出せってんだ。センターロックが使えるハブなど、DT Swiss くらいしか知らん。
  6. 工具について
    振れ取り台は Park Tool の TS-2.2、センターゲージは同じくWAG-4、ニップル回しは何かの通販で無料提供された DT Spokey 旧型。スポークテンションメーターもPark Tool のTM-1。バテッドスポークの計測は目安にしかならないが、そもそも精度が低いツールなので相対値を見るだけなら十分。
    フロントが15TAで、振れ取り台のQRアダプタがなかった。NukeproofのQRアダプタを試したがシマノのハブには入らなかったので、15TAを差し込んで回避。Hopeでも使えたのだが、Shimano とは相性が悪いようだ。
  7. 編み方
    シマノ推奨方式に従い、フロントはいわゆる「逆イタリアン」、リアは「JIS」にした。
ま、後は少しずつやっていけばいいだけで、取り立てて難しい作業はない。「ちゃんと組み終わったらその後は何もすることがないので、とにかくじっくりと丁寧にやるべし」と長瀞の親分から事前に助言を頂いていたとおりにやってみた。
先のDVDでは、スレッドを1山だけ残すという手順になっているが、すぐに抜けない程度までねじ込む程度にする。リアは左右の差が大きいし、シマノハブはフランジに角度が大きめにつけてあるので、この程度にしておかないと先に取り付けた方のスポークがニップルから飛び出し、反対側は逆にスレッドが余ることになる。実際にそうなり、すべてバラす羽目になった(「難しい作業はない」と書いておきながらこういうこともある)。


ホイール組みとは直接関係ないが、チューブレスレディで使う場合はなかなか手強い。Spank のリムは、OohBah という断面が "W" に似た形状で、通常のTLRリムとはだいぶ異なる。スリーブジョイントということもあり、溶接リムのようなおおざっぱな扱いではエア漏れが止まらない。

最初は Stan's のイエローテープ(25mm)を貼り付けてみたが、スポークホールを塞ぐだけの貼り方をしたため、1時間で20PSIほどのエア漏れが。フロントは特にリムの継ぎ目からも漏れている。Spank 純正のテープはCRCで評判がひどかったため敬遠していたが、Spank に問い合わせたところ、やはりそれを使った方が良いとの回答だった。

Spank の Brand Manager である Mike 氏によると、テープは純正じゃなくても、そこらで売っているポリイミドテープを使えば良いとのことで、早速注文。30mで2000円もしない価格で手に入った。
このテープは強度・耐熱性・絶縁性に優れる性質を生かし、精密機器に使用するために開発されたもので、デュポン(日本法人:東レ・デュポン)では「カプトン」として商標登録・販売している。

このテープは American Classic で使っているのを見たことがあったが、こんなに薄いものとは想像していなかった。この薄さは、今回使ったリムには特に有効で、"Bead Bite" である3本の溝を残したまま気密性を確保できる点にある、らしい(Mike氏による)。


とまあ、こんな感じにできあがった。
スポークの色使いについては私の独創ではなく、アメリカの Wheelbuilder.com が販売している製品写真を参考にした(ていうかほぼ丸パクリ)。Wheelbuilder.com の製品写真は非常にセンスの良い配色が目を引く。日本の手組ホイールにもこれくらいのデザイン力が欲しい。
黒28本に白4本。白はパウダーコーディングらしく、通常のペイントより強度はあるが、綾を取ったスポークと擦れ合うことで剥離する。黒の方は剥げない。ガレ場で石がガンガン当たればそれなりに地肌が見えるが、すぐ剥げるとか傷だらけで見苦しくなるというような弱さではない。従って値段を気にしないのなら、あえて無塗装を選択する意味は全くない。どうせMTB、傷が付きやすい部分に傷が付くのを気にするのなら床の間にでも飾っておけば良かろう。


TLRのセットアップにかなり苦労したリムだが、最初から Mike 氏に質問しておけば良かったと反省。こちらの5行くらいの問い合わせに対し、毎回20行以上の長い返信をくれる良い人だ。mtbr のフォーラムによく参加したりと、自社のブランドイメージ維持・向上に抜かりのない できる人物とみた。

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