でも、誰かの役に立つかもしれないので、1つの例としてここに公開してみる。基本的な手順は取説と同じ。
以下の作業は「ブリーディング」のみ。ホースへのオリーブ取り付け等は済んでいる前提で。
なお、制動装置の整備不良は他人を巻き込む大事故の原因になるので、試走だけでなく走行前には必ず点検すべし。また、この記事を含め、当ブログを読んだ結果発生したあらゆる事象については各自の責任である。
準備するもの
- 付属品全部(ミネラルオイル、透明チューブ、ビニール袋)
レバーを左右別で買った場合、付属品はありません。セット価格が左右別の価格より高いのは付属品の分の差額です。 - メガネレンチ(7mm)
- 専用じょうご(SM-DISC)
- シリンジ(KTC フルード吸入器など)
- 面ファスナー(幅20mmくらいのマジックテープ)
- クッキングペーパー(紙)
手順
- キャリパーからパッドを取り外し、ブリード用スペーサーを取り付ける。
- レバーからブリードスクリューとOリングを外す。
- SM-DISC をレバーに装着。栓を外す。
- ミネラルオイルを満たしたシリンジにチューブを着け、ブリードニップルにつないだらゆっくり注入。「ゆっくり」が大事。急いでやると、 オイルがより多くの気泡を巻き込みやすくなるので、なるべくゆっくりと。どっちにしろ巻き込むけど、少ないに越したことはない。
- SM-DISC にあふれるオイルに気泡が混じらなくなったら注入を中断、ブリードニップルを閉じる。
- チューブからシリンジを外し、ビニール袋に付け替える。シリンジや容器に残ったオイルをSM-DISC に満たす。
- ニップルを閉じた状態で、ブレーキを目一杯握る。この状態で 0.5 秒くらいニップルを解放し、キャリパー内のエアを抜く。これを数回繰り返せば、普通はがっつり効くブレーキになる。
- ブリードニップルを完全に閉じて、SM-DISC に栓をし、レバーから SM-DISC を外す。
- オイルをあふれさせながら、ブリードスクリュー+Oリングでレバーのふたを閉じる。
- このまま1日以上、レバーを上にして放置、時々キャリパーからレバーへ向かって順に、歯ブラシの柄などでひっぱたき、エアの移動を促すと良い。
- シリンジにオイルを半分くらい入れ、ブリードニップルにつなぐ。
- レバーを操作し、レバーのマスターシリンダー内のエアを抜く。
- ブリードニップルを緩め、キャリパーから気泡が出てこなくなるまでシリンジをゆっくり引く。
このとき、レバー側からエアを吸い込まないように注意! - 念のため、シリンジからキャリパーにオイルを送り、マスターシリンダー内のエアを排出してみる。
一人で作業している時は、 7 の作業が難しくなるので面ファスナー(または太めのゴムバンド)を使う。 10以降はおまけ。やらなくてもいい。
シリンジとじょうごは、レバーにもキャリパーにも付属してないので、別途購入が必要。
シリンジはシマノ純正でもいいが、サードパーティ製品(KTC フルード吸入器など)で代用できる。
じょうごは説明文中の「SM-DISC」で、これは代替品がない。このじょうごは、BL-M988(BL-M985)のふたに合うようなねじ切りがしてあってさらにOリングと便利な栓がついている。代替品を探してもたぶん存在しないと思う。こちらは数100円なので純正品以外の選択肢がなくても問題ない価格。
キャリパー側でブリードスクリューを使う手順もあるが、最後にキャリパー側でも「オイルをあふれさせながらイモねじを締める」というのは私にとって余計な作業なので、今回は従来通りブリードニップルでやった。
気をつける点とすれば、ブリードニップルとチューブの接続くらい。こいつは下手にやるとオイル注入中に 外れて辺り一面オイルだらけになるので要注意(これは私がやってひどいことに...)。
ブリーディングは一度やっておくと仕組みが分かるし、面倒でもなかなか面白い作業だが、どうしてもうまくいかない人は、プロショップへご相談を。ちゃんとした店なら、料金に見合った仕事をしてくれます。
ちなみに、私が初めて油圧ディスクブレーキを取り付けた際、手がかりにしたのはシマノのマニュアルと整備書籍・ネット・サイメンのDVD。基本的にはシマノのマニュアルだけあれば事足り、それ以外の情報は自分の作業が正しいかどうか確認するために参照した。
なお、発売直後の BR-M985 はシールが甘い個体があり、ピストンからオイルが漏れるという事故が発生した。当然、パッドはオイル浸しで効きが大変悪くなり、ブレーキをかけるとオイルが焼ける香ばしいにおいが。シマノに交換を依頼したら、なんと大阪から中2日で代品が送られてきた。このサポートの良さはすばらしい。
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