ヘッドセットメモ


過去に同じようなことを複数回書いた記憶がある。
  1. InSet
    Chris King社の商標。一般名詞ではない。Integralという別称もあり。ヘッドセットにカップを圧入し、ベアリングがヘッドセットの内側に位置するよう設計されたカップ。
    Cane Creek 社で ZeroStackと呼んでいる規格とほぼ同じ。AheadSetを発明したCane Creek 社に敬意を払い、私はZeroStackと呼ぶことにしている。
  2. External Cup
    ヘッドセットのベアリングがヘッドチューブの外側に位置するように設計されたカップ。Cane Creek 社がAheadSetを発明した当時からある規格で、Traditionalとも呼ばれる。
    内径44mmのヘッドチューブに対し、トップにZeroStack、ボトムにExternalを使用することで、テーパードチューブのフォークを使用することが出来る。
    詳しくない人は「アウトセット」などという意味不明な用語を用いることがあるが、もちろんそのような規格は存在しない。「アウトセット」と連呼・絶叫しているうちに俗称として定着するかも知れない。
  3. AheadSet
    Cane Creek 社が1990年代に特許を取得したヘッドセットの規格。ヘッドセットと言えば Chris King が有名なため、色々な規格の元祖も Chris King と誤解されることがたまにあるが、大変な誤りである。
    Cane Creek 社は、元は日本の Dia-Compe USA で、1992年に "Cane Creek Cycling Component" として独立。AheadSetの特許が切れるまでは、Chris King を含め、各社は Cane Creek 社からのライセンスを受けてヘッドセットを製造していた。
    see also:
    Cane Creek "Our Story"
    ダイアテックの紹介記事
  4. その他
    最近、Wolf Tooth Components 社からヘッドセットが発売された。今までの同社製品の品質から、このヘッドセットも大変良いものと想像できる。
    このヘッドセットで使用している名称および特徴から、Cane Creek 社製品の影響を受けていることが分かる。
    ZeroStack、External Cup という名称、ダストシール付きのクラウンレースなどベアリング保護に気を遣った設計。
    Cane Creek では廉価版の40シリーズでも、同様のダストシールがついており、ベアリング保護に役立っている。

前回走ったのがいつだったか思い出せない

4/21、今日走らなければいつ走るんだ、位の天気だったので、いつものようにちょっと早起きしていつものところへ。

久しぶりとか関係なく、登りは相変わらずダメだ。ポジションも影響はしているんだろうけど、これはやはり乗車技術の問題だろうな。三脚・カメラでバックパックが7kgを超えていたということを言い訳にしておこう。

もうそろそろいいかな、と思って山に入ったが、新緑の彩度が今ひとつ目に刺さらない。例年の写真を見ると、5月に入ってからのものが多かったので、ほんの少し時期が早かったようだ。

Schwalbe Hans Dampf は相変わらず大変なグリップ力である。路面の状態が良いのもあって、タイヤが滑る気がしない。

HC3レバーはグリップに最も近い位置にしていたが、これだと指が疲れることが分かったので、やや遠めに修正。次回はもう少し楽に制動できるはず。

六角レンチ沼?

まあ、いろいろ事情もあって、こういう状態になった。手前左から、エイトTMS-7、PB Swiss Tools  PB 3212 LH、奥左から、エイトBCTM-S9OR(10-8と6-1.5に分解)、不明なツールセット(約9年前に購入)。

前回書いたとおり、使いやすいのは PB 3212 LH。長くて携帯性が悪いので、自宅での作業はこちらを使うことになる。
TMS-7は不明なツールセットとほぼ同じサイズなので、携帯工具としてはこちらを使用する。

たかが六角レンチではあるが、各社それぞれ研究開発の成果を謳っていて、ボールポイントの形状は以下のような感じ。
エイトは平面で構成、PBは曲面で構成。手持ちの他のレンチと比較するとPBっぽいのが一般的に見える。

エイトは、品質は非常に良いはずで、使い勝手も悪くない。しかし、残念な点がいくつもある。

製品のランクとして、「エキセレントシリーズ」「スタンダードシリーズ」に分けられているが、上位ランクのはずの「エキセレント」でも高級感がない。
レンチ単体で見れば差別化は十分だが、「特短」等の安っぽい紫色ホルダー、青くてこれも安っぽい半透明のドアホルダー。ミリが白、インチが黒かと思ったらそうでもない一貫性のなさ。
「エキセレント」だけで白・黒・青紫・緑・紫・半透明青。ごちゃごちゃと6色も使っている。
PBのホルダーは、基本的にミリが赤、インチが黒で統一(ケースはミリで黒[PB 210 Kなど])。価格はPBがやや高めだが、エイトが安いわけでもない。

ホームページの一覧性はエイトの方が良い。野暮ったいがわかりやすい。PDFがダウンロードできて、各製品の仕様を確認しやすい点も◎。
エイトはこちら
BPはこちら

そしてもう1点。TM/TMSにはシルクプリントが施されているが、普通、ホルダーに入れたときに、ホルダーのプリント同じ向きで見えるようにしないか?何で裏なの?どういうポリシーなんだろうか。
型番なんか表に出す必要ないとかそんな感じかな?着物の裏地に凝る江戸時代のシャレオツ野郎みたいな。

しかし、PBとの決定的な差はレンチの断面にある。ボールポイント側も含め、PBの方が断面の平滑度が高い。TMS-7のセットでは、3mmの変形が顕著、2mmは切りっぱなし風、1.5mmは断面がへこんでいる。5mmもあまり良い出来には見えない。PBは、どのサイズであっても研磨を行ったような断面である。

自転車部品は、自動車や二輪に求められるような精度を持っていないと、自動車会社や二輪部品製造業の人から聞いたことがある。従って、この程度の粗は自転車整備に影響ないと思うが、六角レンチ(にわか)フェチとしては看過できない差である。断面を毎度ピカリングするような人間にとって、平滑でない断面を見るとムズムズする。

六角レンチ増える病

そういえば、T字ハンドルの六角レンチは、サスペンションフォークのオーバーホール用に買ったんだったっけ。確かにこれは便利だけど、使うのは1種類くらいしかないから、バカみたいにセットで買う意味はない。

最初に購入したビットセットは、東日のMTQL40N用のもので、それから同じ東日のQL6N4に小さい1/4のものを。これはディスクブレーキローターのトルクスボルトを使うのに買ったのであるが、実際のところあまり使っていない。5Nm未満を必要とする部品があまりないせいで、5-40Nmを使える前者の方を一番よく使っている。
UKのメーカーで2-40Nmだったか、かなり広いレンジのトルクレンチを見た記憶があったが、詳細を完全に失念してしまった。

そして、六角レンチセットで良い物がないかと探していたところ、これが見つかった。
PB 3212.LH-6 。持ち手が丸棒で、滑り止めの溝が掘ってあり、作業性が非常に良い。MTB日和で紹介されていたエイトのレンチも勢いで買ってみたが、塗装がすぐにはげてしまい、気分的によろしくなかった。PBのパウダーコーティングもはげやすいという評価がアマゾンにあったため、色つきは趣味の域を出ないと思った方が良さそうだ。

ということで、今回は無難に金属色をした物を選択。派手さはないが、これはこれで気に入っている。また、エイトでいう「ボルトキャッチ」機能は、通常のほとんどの使用において不要どころか作業の障害になる。
ちょっと変わった機能も使い方によっては良いかも知れないが、こういった汎用ツールはごく普通のものを選んだ方が無難。

リアも4ポットに

数年前までポッだと思い込んでいたが、正しくはポッ。自分と同じ間違いをしている人は珍しくなく、一度誤って覚えると調べる機会もなくずっと誤ったままだ。
ボトルージとかRDのロングージとか。いずれも濁らない。
映画関係だと弾丸(bullet)をレットなんて、「ディスクトップパソコン」並みに恥ずかしいカタカナが横行してて笑止千万。救いがたい。こういう方々は、US Marine Corps をどのようにカタカナ転記するんだろう。
toe[təʊ]は普通に転記すればトー(「トウ」は神経質表記)だが、それ「ディスクトップ」式にトゥ/トゥーと書く人は、佐藤さん・加藤さん・斉藤さんをサトゥーさん・カトゥーさん・サイトゥーさんと読んでいるんだろうから、何らかの個人差または地域差かも知れない。
ついでにいえば、sword はード[sɔːd]であって、スォードって書くのはこれも「ディスクトップパソコン」並みに幼稚な誤記。この辺はWTCの代理店なんかひどいもんだ。
こういった残念な表記については、今後も何度も繰り返し指摘する予定である。

いつも走っているところは大分体になじんでいるし、スピードを上げることがないので、フロント:リアのブレーキングの割合が9:1位でも安全に走れているから、リアブレーキは弱めのままにしておいた。
しかし、先日いつも徘徊している土手で、マニュアルはこんな感じですかとか調子に乗って後ろに加重しすぎてジーンズと膝をダメージ加工してしまったのを契機に、フロント・リアの効き具合を同じにすることに決定。

シマノXTR BR-M985から引き続き、地金っぽい色が気に入っているので、MT Trail Carbon のフロント用4ポットキャリパーを選択。元々ついていた青のリングを破壊し、過去に購入済の黄色リングに交換。

マグラは2ポットがシマノ比でクソみたいに効かないが、4ポットはかなり強力。シマノ比で感じる、マグラ独特の立ち上がりの遅さがなくなり、効いて欲しいところで効いてくれるブレーキになった。それでもちょっと雑な操作でも、サーボウェーブみたいに制動力が変わったりしないので、レバーの引きと制動力の変化がつかみやすい。シマノもオン/オフみたいなブレーキではないが、BL-M985等のXC向けレバー以外は自分にはイマイチな使い心地。

今回、セットアップ時に横着して、正規の手順を飛ばしてみたところ、レバーのフィーリングがスポンジーになってしまった。いくらやっても改善しないので、改めて、キャリパーのブリーディングポートにシリンジをセットし、キャリパー側からオイルを圧送/エア抜き/オイル吸引という取説通りの手順でやり直した。
やはり取説に従って作業するのが正解で、これでエアがほぼ抜けきり、フロント同様のカチカチフィーリングに改善した。フロントに比べてホースが長くて膨張する量が多いためその分柔らかめになるが、ステンレスメッシュに交換するほどのことはないのでこれで十分。

しかし、全然乗ってない。仕事の関係で4月末までは多分乗れないだろう。先日 Igus Iglidur にブッシングを交換したペダルの負荷試験もやれてない。
花粉が治まるころには山に行きたいもんだ。

Magura HC3 Lever のオーバーホール

昨年7月末に購入したMagura HC3レバーだが、正常なのは遊びがある方で、「ほぼ固定される」と書いた方がダメなことが分かった。

このレバーは大きく2つのパーツから構成されていて、中央部の折り曲げ角度によってリーチ調整を行う仕組みになっている。グリップから前方に、つまりブレーキングと逆方向にレバーを押すとパコパコ動くような構造になっている。シマノのサーボウェーブ付きレバーのような感じ、といえば良いか。

遊びの範囲はリーチ調整幅の2倍くらいで、かなり余裕を持った設計になっている。
レバー内部にリターニングスプリングが内蔵されていて、レバーを押すとスプリングが折れ曲がり、その反発力でレバーがいい感じに収まる。シマノの場合は反発力が弱いので、ちょっとカチャカチャした感じになる。

問題は、2つのレバー部品の噛み合わせの問題だった。正常な方はスムーズに動き、抵抗なく元の位置に戻る。不良品は、レバーを押すと引っかかり、力をかけるとようやく動くが、今度は元の位置に戻らない。組み付けたままマシーンスプレーを注入したが改善せず。仕方がないので分解し、皮膜のわずかな剥離を確認。その周囲を耐水ペーパーで削り、番手を上げながら研磨、最後にいつものようにピカールで仕上げた。
多分これは削りすぎ。何度も戻して調整するのが面倒なので一気に広範囲を過剰に面取りした。
取り付けてレバーを押してみたところ、正常な方と同じ動きになり、完全勝利を勝ち取ることが出来た。

これが千円くらいだったらやむを得ないけど、あの価格でこの精度とは残念でならない。

DMR Vault のブッシングを交換

DMR Vault、マグネシウムプラットフォームにチタン軸で、300gを切るという驚愕の質量である上に、ソールへの食いつきが良く、耐久性が高い。ベアリングは工業規格のもの(686ZZ)を使用しているため、メンテナンス性にも優れた製品である。

しかし、ブッシングの寿命が短い。前回の交換は2017年7月であるが、2018年2月時点でガタが発生している。それまでに山を走ったのは10回未満。よく走る時期なら数月でダメになっていそうだ。
白が Igus Iglidur W300、黒が純正品
純正品はあまり良いものを使っていないようで、交換直後は回転抵抗が非常に高い。ネットで評判を見てみると、やはり耐久性は低いようで、真鍮製に交換したらどうかとかいろいろな意見が出ていた。

今回、この記事を読んで、ドイツ企業が製造している Igus の Iglidur W300 に交換してみた。Igus のブッシングは、Spank のペダルにも使用されているので、こういった部分への用途としては特に珍しくもないようだ
交換直後の抵抗は非常に低く、まるで転がり軸受け(=いわゆるベアリング)のようである。寸法があってないのかと思うくらいで、試しにいろいろな方向へ強く引いたり押したりしてみたがガタはない。単に Iglidur の摩擦抵抗が低いだけのようである。

ブッシングの寸法はDMRのスペアパーツページにあるとおり、軸経:12mm、ベアリング長さ:12mm、外径:14mmである。この値をイグスの製品ページに入力すると、WSM-1214-12(2018年2月現在)と表示される。
イグス日本法人では、最低注文数なしで受注しており、個人でも発注可能。価格は1個50円くらいで(2018年2月現在)、先のフォーラムに記載された価格と比べるとずいぶんと安い。今回は10個注文したので、送料が商品代金総額とほぼ同額になったが、それでも純正品はブッシングだけで販売していないのでこれで十分に安い。1000個くらい発注すればもっと安くなりそうだけど、

とりあえず、これがどれくらい使えるか、しばらく様子を見てみよう。1年くらいは持って欲しい。

油圧ディスクブレーキとかなんとかかんとか

油圧ディスクブレーキに関する個人的な感想を書いてみる。 輪行に難あり、または輪行は不可能という幻想 自分もVブレーキから移行した当初(2010年頃)はそう思っていたが、実際やってみると慣れの問題で、輪行は油圧ディスクブレーキを忌避するための決定的な要因にならない。 片道で1回と数...